クリムト ウィーン世紀末美術の装飾美の権化・傑作作品


 



クリムト。ウィーン世紀末美術を代表する人物です。

西洋美術史の教科書には必ず登場してきます。なぜ、こんなのが・・・・と思ったのは大学生の頃。その後、ヨーロッパに行くようになり、留学もし、ウィーンにも赴き、そんなことを重ねる中で、出会ったのが「大クリムト展」でした。

ドイツ語がわからないから何を記念してのことだったのかいまだに不明ですが、クリムトの作品ばかりがズラ〜〜〜と並べられていて、一種独特の雰囲気で、入場しようかどうか迷ったくらいでした。

クリムトばかりを見つめているうちに、それまで私の中にあった先入観が浮き彫りとなり、ダメだな・・・・と反省したことを思い出します。

眠れる美(いまだ発見されず隠されている新しい美)の発掘をするのが役目なのに、持ってないようで持っているのが決めつけなんだと経験しました。こんなことじゃ「作品」と対話なんてできてない、と、がっくり肩を落としました。

美しいクリムトの装飾美。

彼女のドレスも、その上に羽織っているお洋服も、椅子も、何もかもが、それぞれ独自の文様で表現されています。細かく鑑賞することに意味のある作品がクリムトなんだろうと思っています。

目のような文様、見えますか。彼なりの意味合いを込めて、世紀末らしいメッセージも実は織り込まれている作品です。

言いたいことはいっぱいありますが、ここでは、まず、うっとりと眺めてもらうことを主眼としています。美しさを生み出すために、画家たちがそれぞれのオリジナルの表現法を見出していった努力と功績。時代を超えて愛され続ける人類の宝物には、圧倒するようなパワーと、唯一無二の作り手の生き様があるように思えてならないのです。

皆様もご一緒に、この絵、しばらくじ〜〜〜〜っと見つめてあげてください。


 
|author : 村松 操 | 美術への招待 | 18:18 |
フランスの歴史を伝える絵画 1824年当時の「サロン」風景

名画を観る目
美しさを愛でる・創造性に感動する



すべては「マリー・アントワネット」から始まりました
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久しぶりの更新になってしまいました。

今年は、NHKの大河ドラマ『おんな城主 直虎』に集中しておりまして、絵画よりも、「武家」という存在についてがテーマとなってしまい、すっかりこのコーナーのことを忘れておりました。

今回取り上げた絵画は、印象派が生まれる前、1824年当時のアカデミーが主催する「サロン」の様子を描いた作品です。歴史的な瞬間をとどめることも絵画の大切な役割。その典型でもあると考え、ご紹介することにいたしました。美術史を専攻していないと、なかなかこうした作品との出会いはないかと思います。面白みに欠けますから。大事な歴史的資料として、この絵画の存在、知っていていただきたいです。

権威的な「サロン」のあり方に反発する形で、今後フランスは動いていきます。絵画史が大きく変わっていくわけです。第一回印象派展での衝撃は、モネの「印象 日の出』の時にご紹介していると思います。

絵画鑑賞には、それなりの観るべきパースペクティブ(絵画を観る目)が求められます。印象派の作品を楽しむには「その前」が大事です。

今年、お料理教室でモネの『睡蓮』を思わせるスープを作りました。視覚芸術に親しんでいると、そんな日常の「お料理」さえも、異次元の美意識の世界へと結びつけ、一人でも楽しめるから素敵。

創造性に満ち溢れた歴史が美術史の世界。人間の叡智の結晶。才能と努力と宿命が形になった世界でもあります。生きているうちは名も知れず、貧困で、精神を病む者もいた世界。光と闇が混在する絵画史を、大切にしてあげたいと思います。


 

|author : 村松 操 | 美術への招待 | 09:36 |
嫌わないで欲しいな・・・名画『アルノフィーニ夫妻の肖像』

名画を観る目
美しさを愛でる・創造性に感動する



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前回に続いて、北方ルネサンスの巨匠「ヤン・ファン・エイク」の作品をご紹介します。

初めてこの絵画と接する方々は、大概、同じことを言います。「なんだか怖〜い」「暗〜い」「どうして有名なのか、この絵がよくわからない」。

美術史上、名画とされる理由が観えてこないと、「つまらない・・・・」となり、そこで終わってしまうのが名画鑑賞の性(さが)。その性から名画たちを解放してあげたい!

西洋美術史とテーブルデコレーション講座を担当させていただいたおかげで、「美術史の勉強って楽しい」「初めて好きになりました」「もっともっと、ず〜〜っと聴いていた〜い」と聴講されている方々から言われ、美術史学の持つ魅力を再確認させてもらったところです。

油彩画の表現法を確立し、最高に美しい細密描写と、光沢感溢れる着彩法という、西洋美術の発展に寄与したファン・エイク兄弟。

この絵もそうで、婚約者のおめしになっているお洋服の質感がドレープの描き方から伝わってきます。細かな模様も見えます。鏡の淵に描かれた10のキリストの受難の物語。その他、室内の様々な文様が細密描写されています。窓辺にも注目。お外の風景すら見えるんです。あんなに隅っこなのに、です。前回の『受胎告知』の場面でもそうでした。窓からうかがえる外の景色、それを再現するという徹底ぶり。

興味を持たれた方は、是非、画集でご覧になってください。ご専門とする教授による詳しい解説が添えられています。私が今していることは、それへの橋渡しです。

たくさんの方々が「美」を愛でる心と、創造性を尊ぶ気持ちに至っていただけることを念じて、これからも美術についてご紹介したいと思います。

 

 

|author : 村松 操 | 美術への招待 | 18:15 |
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